ライプツィヒはプレッシングの限界を超えるのか ラングニックの見据える進化のプラン

皆さんこんにちは


今回はライプツィヒについてのブログになります。最後までお付き合い頂けたら嬉しいです。



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4-4-2からの解放

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Bundesliga第3節 開幕から勝利なしの中ホームで迎えたハノーファー戦。この試合でライプツィヒは昇格からの2シーズン、一貫して使ってきた4-4-2を採用せずに4-1-3-2(4-3-1-2)のシステムを採用した。(上記画像) 結果的にはこれが功を奏し今季初勝利を挙げる事になる。このシステムがライプツィヒに何をもたらしたのかをこれから考察して行きたいと思う。



異質なフォルスベリをも染め上げるラングニック


まずはシステム変更後の話をする前に、変更前の4-4-2で起きていた問題について軽く整理しよう。


4-4-2を採用していた開幕からの2試合。決してライプツィヒ得意のハイプレスが機能していない訳では無かった。確かにプレッシングの鍵となるナビ ケイタの退団はあったものの、ケビン カンプルとディエゴ デンメの2セントラルのプレッシング強度はケイタのそれと大差がある訳では無く、ケイタ退団で起こった問題点はそこには存在しなかった。


むしろ、ケイタがチームから去った事による最大の弊害は、プレッシングでボールを奪回した後のショートカウンターの破壊力の低下に現れていた。カンプルは持ち運びこそ良いものを持って居るが、ケイタ程の攻撃センスがある訳ではなく、デンメに関しては守備面の貢献を売りとする選手なのでそれを求めるのは間違いだろう。


ここで本来ならサイドハーフがカウンターの起点として機能するべきなのだが1-4で敗戦を喫したドルトムント戦では、ドルトムントが中盤にプレー強度の高い選手を並べて来た事もありボール奪取に成功したとしてもサイドハーフまで繋げず、更に自分達がショートカウンターを食らう場面が幾度も見受けられた。


この問題を解決するためにラングニックが採用したのが、エミル フォルスベリのトップ下起用だ。元々、左サイドハーフでプレーしていたフォルスベリが担っていた役割は縦方向へのプレーに強みを持つRBライプツィヒというチームで、唯一横方向への動きで違いを作り出す事だった(リヴァプール時代のコウチーニョと近い役回り)

チーム内でも異質な存在と言えるこのプレーヤーだが、16-17シーズンはBundesligaのアシスト王に輝いており、実力に疑いの余地は無い。しかし、昨季は自身の怪我によるコンディション不良、元々トランジションに重きをおくれチームの多いBundesligaということもあり、異質な分、トランジション時の攻防では穴となる部分も見受けられ、消化不良の1年に終わった(アシスト数も19→2と激減)


今季も開幕から昨季の低調を引きずっているように見えたフォルスベリだが、ハノーファー戦でのトップ下起用で2アシストを記録と躍動する。ここで彼に与えられたのは今までの横方向の動きで違いを作り出すのでは無く、ショートカウンターの起点として縦方向の動きで違いを作り出す役割。即ちこれまでケイタが担っていたタスクである。この役割を与えられたフォルスベリは昨季の鬱憤を晴らすような溌剌としたプレーを披露。カウンターで仕留めきれなかった場合には横方向の動きで相手守備陣に揺さぶりを掛ける臨機応変な部分も見られた。


また、中盤を3センターにした事によってこれまで以上に中央でのプレッシングの強度は が向上したのもこのシステムの恩恵だろう。CFフュルクルクを攻撃の起点とするハノーファーにはこれがハマり、何度もショートカウンターを繰り出すシーンが存在した。



プレッシング特化の落とし穴


勿論、このシステム変更はライプツィヒにメリットばかりをもたらしたのでは無い。中央のプレッシング強度に重点を置いている分、サイドのスペースではプレッシングに綻びが出てくるのである。実際、それを見抜いたハノーファーのブライテンライター監督は後半はCBからの中盤を飛ばしたサイドへのロングフィードや中央を経由せずに直接WBを活用する等戦術修正を加えてきた。シャドーで先発した浅野拓磨が前半は右SBのムキエレとのマッチアップが多かったの対し、後半は右CBのコナテとのマッチアップが増えた事からもWBがアウトサイドレーンを活用する機会が増えた事が伺える。ここはライプツィヒがこれからどうリスクマネジメントするかに注目だろう。


尚、左サイドに関しては朗報がある。先日のヨーロッパリーグザルツブルク戦で8ヶ月振りの実戦復帰を果たしたマールテン ハルステンベルクだ。ドイツ代表歴もあるこの左SBは精力的なアップダウンを武器としており、アウトサイドレーンを一任するに十分な能力を持ち合わせている。

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ライプツィヒは2019-20シーズンから現ホッフェンハイム監督のユリアン ナーゲルスマンの就任が決定している。それも踏まえると、今季はナーゲルスマン着任までの準備期間とも捉える事が出来る。一旦、プレッシングに振り切ったチームに構成する。そこに、Bundesligaトップの戦術のバリエーションと柔軟性を誇るナーゲルスマンが手を付ける事で、突出した武器を持ちながら様々な状況に対応出来る、即ちBundesligaの覇権を手中に収める事の出来るチームが完成するかもしれない。ライプツィヒがドイツの王者になる為のプロセスは、ラングニックの頭の中にしっかりと描かれているようだ。





それではまた