18-19 Bundesliga プレビュー 覇権争いの存在しない世界

Bundesligaが開幕して早くも2節が経過した。

自分が考える今季のリーグと各チームの軽い展望と現状についてこのブログでは触れていきます。


盤石とは言えない絶対王者

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現在リーグ6連覇中の絶対王者バイエルン ミュンヘン。今季は移籍市場で満足な動きが出来ず、新加入は冬に獲得が決定していたレオン ゴレツカ、レンタルバックのセルジュ ニャブリ、レナト サンチェスのみ。サポーターは不満が溜まる夏となった。昨季の緊急登板に応えたユップ ハインケスが第一線を再び引き、後任にはフランクフルトで名を挙げた戦術家ニコ コバチを招聘した。しかし、コバチの補強リクエストは通らない所か、代役確保もままならない状況でのジェローム ボアテングの売却騒動(結果残留したが)等フロントには呆れるばかり。スカッドに目を向けても最終ラインは明らかに頭数が足りておらず、特にSBはレギュラー陣の故障が命取りとなるだろう。WGにしても未だにロベリーに頼らざるを得ない状況で、とてもではないが悲願のCL優勝を成し遂げられるとは言い難いだろう。しかし、国内となれば話は別だ。バイエルンに絶対的な強さは無い。ただ、彼らを追い落とすようなライバルクラブが存在しないのも事実だ。実際、今季も難無く開幕2連勝でスタートしている。この悲観的にならざるを得ない状況においても、ドイツの覇権に限りなく近いのはバイエルン ミュンヘンなのだ。



2連勝スタートを切った意外な2クラブ


今季、バイエルンと同じく2連勝でスタートを飾ったクラブが他に2つ存在する。1つはヘルタ ベルリン。5シーズン目を迎えたパル ダルダイが率いるハードワークを信条とするこのチームが開幕から違いを見せている。昨季までの4バックから3バックへ移行し、ハイプレスとリトリートを組み合わせたハイブリッドサッカーを披露。2節のシャルケ戦はCBの軸のレキクが故障するアクシデントに見舞われながらも即座に4バックへチェンジし問題を修正。シャルケのウィークポイントを徹底的に突くことで見事勝利を収める圧巻の試合運びだった。移籍市場では殆ど大きな動きを見せなかったが昨季控えに甘んじて居た選手達が、今季は開幕からスタメンとして躍動しており、ダルダイの用兵が見事である事が伺える。終盤戦に失速する傾向があるだけに覇権争いは厳しいかも知れないが、間違いなくリーグを面白くしてくれる存在だろう。


そしてもう一つのクラブはヴォルフスブルク。2年連続で入れ替え戦に回っていたドイツ屈指の金満クラブは移籍市場での苦戦を物ともせずシャルケレヴァークーゼンの強豪2クラブを破る近年で最高のスタートを見せている。詳しい事は過去のブログに書いてあるのでそちらを見て頂きたいが、2位に躍進した14-15以来の期待感を感じずにはいられない。


息を吹き返したドルトムント


知将ルシアン ファブレの下、チームを再構築したドルトムント。昨季と格段に変化したのが中盤のインテンシティで、新加入のアクセル ヴィツェル、トーマス ディレイニー、そしてボルシアMG時代の恩師の下覚醒したマフムード ダフードの3センターは昨季のドルトムントに欠けていた力強さをもたらした。既に圧倒的な存在感を見せるアブドゥ ディアロに加えCFに補強したパコ アルカセルがチームにフィットすれば、史上最強の2位となった15-16以来の強いドルトムントを見る事が出来るだろう。最大の懸念はマルコ  ロイスのコンディションだ。このエースがシーズン通して健康体を維持できればナンバー2の座の奪回、そして覇権争いも見えてくるだろう。



青年監督の集大成は故障者の治療から


19-20シーズンからRBライプツィヒの監督に就任する事が発表されたユリアン ナーゲルスマン。今季はその集大成としてCLでの躍進、そしてリーグでバイエルンに喰らい付くと言った野心を持っていたホッフェンハイムが直面しているのは非常に厳しい現実だ。開幕の段階で昨季主力としてプレーした面々に6人の負傷者。更に2試合で3人もの負傷交代が起こる等相次ぐ故障者に頭を悩ませている。それでも昨季のチーム得点王ウートの退団によって責任感が芽生えたアダム サライが開幕から得点を量産しており、開幕節こそバイエルンの前に倒れたものの、2節のフライブルク戦はしっかりと勝利を収めた。この怪我人続出の中で、CLが開幕してからの両立をこなせるかが今季の成功を左右する要因になりそうだ。


早くも暗雲が立ち込める強豪達


今季は本来なら覇権争いに絡んでくるべきである強豪が、開幕から2連敗でスタートを切っている。


まずはシャルケだ。久し振りのCL参戦で期待感の高まるはずの今季、開幕から、格下2チームに連敗スタートと厳しい結果に。やはりゴレツカとマイアーの退団した穴は埋められているとは言えず、彼らの穴埋めを期待されるオマール マスカレルが怪我で出遅れる事態に。また、負傷者に泣かされているのは最終ラインもだ。特にCBはただでさえ3バックに対して4枚という人数不足にもかかわらず、ビルドアップの要のスタンブリが怪我で離脱中。ボランチからのコンバートが構想に入っていたガイスも怪我に泣かされる始末。また、軽率なプレーも目に余り、開幕節でナスタシッチ、 2節でコノプリャンカが共に一発退場の憂き目に遭っている。名門復活を託されたデデスコは予想以上に厳しい船出となっている。


そしてレヴァークーゼン。戦力に関してはBundesligaのクラブの中ではトップクラスとも言えるものの開幕2連敗を喫するスタートに。アランギス、バウムガルトリンガーといった中盤の軸に加え新守護神のフラデツキーが故障に泣かされている部分もあるとは言え、明らかに力負けしている内容を考えると失望が残る。昨季尻すぼみだったベイリーはそこから抜け出せていない様子が見受けられ、ヘルリッヒの選手配置にしても最適解を見出せてるとは言い難い。近年で最高の戦力を揃えたと言われながら失望に終わった16-17シーズンの二の舞になるのか、ここから盛り返してくるのかに注目したい。


もう一つはRBライプツィヒ。Bundesligaの中でも覇権を狙うと言う野心を剥き出しにする数少ないクラブだが、今季は開幕2試合を終えて1分1敗の結果に。特に印象的だった開幕節ではストロングポイントの1つだった中盤の攻防でドルトムントに終始遅れを取り、ナビ ケイタ退団の穴を痛感させられた結果に。フォルスベリにしても怪我で精彩を欠いた昨季からの復活が果たせておらず、攻撃が淡白になる場面も多々見られる。希望が持てるのはベルナルドの移籍とハルステンベルクの長期離脱で不安視されていたSBでノルディ ムキエレとマルセロ サラッチの新戦力2人が好パフォーマンスを見せている事か。昨季は欧州カップ戦との両立に苦しんだが今季は2つのコンペティションそれぞれで結果を出したいシーズンになる。



最後になるが、ここ数年のBundesligaには覇権争いが存在しない。4月にはバイエルンの優勝が決定し、あくまでも白熱するのは欧州カップ戦出場権争い。これが良い影響を及ぼしているとは決して言えず、昨季は欧州カップ戦においてバイエルン意外のドイツ勢は全てGLで敗退する結果(CL勢はEL行き)となった。また、移籍市場においてもドイツは他国に比べて圧倒的に遅れをとっており(これは50+1ルールの存在もあるが)このままではいずれ5大リーグの地位からも陥落する恐れがある。


クラブサポーターの立場では無く1人のBundesligaを観る者として、今季のBundesligaには覇権争いが存在する事を強く願う。そしてその上でクラブサポーターとして、バイエルンが欧州、リーグの両方で栄光を掴む事に期待したい。






それではまた